司書Hです。
やりたいことや、やらなくてはいけないことができない状態が続きます。ニューヨーク研修に行くはずだった、部活をがんばるはずだった、巡礼を楽しみにしていた、などなど。いつかはできる、いつかは行ける、落ち着いて今できる事を考えましょう。今回はアメリカに関する本やロングセラーとして話題になっている本を紹介します。ブルーバックスや文庫本は書店で購入できますね。単行本は学習センターが開館してからでも手にとってみてください。(ちょっと高いからね)
♣=♣= ベストセラー ♣=♣=
最初に2019年にアメリカでベストセラーとなった小説を紹介します。ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』です。1950年代のアメリカの東部から物語は始まります。主人公は貧困家庭に生まれ、「湿地の少女」と地域の人びとから呼ばれていました。今だったらネグレクトとして問題になる環境で、親にも周りの大人たちにも見放され、ひっそりと湿地帯の森の中で生活をして学校へも行きません。彼女は生き物たちの声を聴きながら、その自然に呼応するように成長していきます。自然の描写から湿地帯の空気を感じてください。ミステリーの要素もあり、ストーリーを追いかけたくなり、読みやすいです。著者は動物学者です。
♣=♣= こうして私たちはディアスに辿り着く ♣=♣=
2冊目は都甲幸治『21世紀の世界文学30冊を読む』です。都甲氏はアメリカ文学の研究者です。世界には出身国ではない国で、母語ではない言語で書き表している作家がいます。この本で紹介されているジュノ・ディアス、イーユン・リー、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェもアメリカで活躍していますが、他の国のルーツを持つ作家たちです。アメリカの多文化性を感じてください。巻末にディアスの短編が収められています。翻訳家という仕事にも興味がわく1冊です。
*https://note.com/kankanbou_e/m/m87bdbb8073cc
↑こちらで都甲氏がどのようにアメリカ文学に行き着いたか、エッセイを書いています。
♣=♣= Becoming ♣=♣=
3冊目はミシェル・オバマ『マイ・ストーリー』です。オバマ前大統領夫人であるミチェル・オバマ氏の自伝です。彼女が行ってきたスピーチはアメリカの良心です。読後は少しだけでも頑張ろう、人を信じてみよう、と前向きになれます。
♣=♣= 科学と宗教 ♣=♣=
4冊めは三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』(ブルーバックス)です。著者はアメリカで生活して大学を卒業し、アメリカで素粒子物理学の研究職をへて日本の大学でも教鞭をとり、カトリックの助祭もつとめています。この本は物理学を中心とした科学史としてもおもしろく読むことができます。第5章以降は少し難しいかもしれません。(アインシュタインが登場してきます)科学技術は欧米を中心して発達してきました。キリスト教、ユダヤ教の信仰と科学者との関係を知ることで「神を信じること」と「科学」が矛盾しないことを著者は説いていきます。「科学者とは自然に対してもっとも謙虚であるべきであり、そのことと神を信じる姿勢とは、まったく矛盾しない」と著者はの述べています。コロナ禍の今、読んでほしい本です。
♣=♣= ロングセラー ♣=♣=
ここで紹介する2冊は文庫本です。書店でも入手しやすいです。
阿部謹也『ハーメルンの笛吹き』をこれから読む予定です。一緒に読みませんか。
井上ひさし『十二人の手紙』は手紙だけで構成されてい連作短編です。12人の手紙の12の短編でもじゅうぶん楽しんだのに、最後のエピローグで・・・。唸ってしまいました。この本はお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんとも共有できます。
つつじがきれいでした。