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おすすめの本②  2020年05月07日

司書Hです。

やりたいことや、やらなくてはいけないことができない状態が続きます。ニューヨーク研修に行くはずだった、部活をがんばるはずだった、巡礼を楽しみにしていた、などなど。いつかはできる、いつかは行ける、落ち着いて今できる事を考えましょう。今回はアメリカに関する本やロングセラーとして話題になっている本を紹介します。ブルーバックスや文庫本は書店で購入できますね。単行本は学習センターが開館してからでも手にとってみてください。(ちょっと高いからね)


 

♣=♣= ベストセラー ♣=♣=

最初に2019年にアメリカでベストセラーとなった小説を紹介します。ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』です。1950年代のアメリカの東部から物語は始まります。主人公は貧困家庭に生まれ、「湿地の少女」と地域の人びとから呼ばれていました。今だったらネグレクトとして問題になる環境で、親にも周りの大人たちにも見放され、ひっそりと湿地帯の森の中で生活をして学校へも行きません。彼女は生き物たちの声を聴きながら、その自然に呼応するように成長していきます。自然の描写から湿地帯の空気を感じてください。ミステリーの要素もあり、ストーリーを追いかけたくなり、読みやすいです。著者は動物学者です。

 

♣=♣= こうして私たちはディアスに辿り着く ♣=♣=

2冊目は都甲幸治『21世紀の世界文学30冊を読む』です。都甲氏はアメリカ文学の研究者です。世界には出身国ではない国で、母語ではない言語で書き表している作家がいます。この本で紹介されているジュノ・ディアス、イーユン・リー、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェもアメリカで活躍していますが、他の国のルーツを持つ作家たちです。アメリカの多文化性を感じてください。巻末にディアスの短編が収められています。翻訳家という仕事にも興味がわく1冊です。

https://note.com/kankanbou_e/m/m87bdbb8073cc

↑こちらで都甲氏がどのようにアメリカ文学に行き着いたか、エッセイを書いています。

 

♣=♣= Becoming ♣=♣=

3冊目はミシェル・オバマ『マイ・ストーリー』です。オバマ前大統領夫人であるミチェル・オバマ氏の自伝です。彼女が行ってきたスピーチはアメリカの良心です。読後は少しだけでも頑張ろう、人を信じてみよう、と前向きになれます。

 

♣=♣= 科学と宗教 ♣=♣=

4冊めは三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』ブルーバックス)です。著者はアメリカで生活して大学を卒業し、アメリカで素粒子物理学の研究職をへて日本の大学でも教鞭をとり、カトリックの助祭もつとめています。この本は物理学を中心とした科学史としてもおもしろく読むことができます。第5章以降は少し難しいかもしれません。(アインシュタインが登場してきます)科学技術は欧米を中心して発達してきました。キリスト教、ユダヤ教の信仰と科学者との関係を知ることで「神を信じること」と「科学」が矛盾しないことを著者は説いていきます。「科学者とは自然に対してもっとも謙虚であるべきであり、そのことと神を信じる姿勢とは、まったく矛盾しない」と著者はの述べています。コロナ禍の今、読んでほしい本です。

 

♣=♣= ロングセラー ♣=♣=

ここで紹介する2冊は文庫本です。書店でも入手しやすいです。

阿部謹也『ハーメルンの笛吹き』をこれから読む予定です。一緒に読みませんか。

井上ひさし『十二人の手紙』は手紙だけで構成されてい連作短編です。12人の手紙の12の短編でもじゅうぶん楽しんだのに、最後のエピローグで・・・。唸ってしまいました。この本はお母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃんとも共有できます。

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つつじがきれいでした。

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長期休校中のおすすめ本① 2020年05月03日

休校が5月31日まで延長されました。

みんな元気にしていますか?

 

生徒のいない学習センターは、春だけどひんやりと静かです。

こんな時こそ読書しよう…は、すでにいろんな人が言っておられますよね。

学習センターからも、ブログを使って司書のおすすめ本をぽちぽちと

紹介してみようと思います。(遅いけど)

最初は司書Sのおすすめから。

時間もあることだし、世界的名作、古典とかにしようかと思いましたが、

書店で文庫が手に入る日本のファンタジーにしました。ただし手ごわいやつ。

名作・古典は「青空文庫」(無料のインターネット上電子本です)でも

読めるものがあるので、興味のある人はアクセスしてみてください。

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図書館の魔女     高田大介著       講談社

「なんか、うまく言われへんけど、凄い!」と感じるものに出会ったこと、ありません?この本はまさにそれ。分厚いし、読めない字や、見たことのない熟語てんこ盛り。ジャンルはファンタジーですが、日本語、フランス語、漢語、言葉・ことばの洪水。溢れる知識・情報量に圧倒され、押し流されながらも、なんか凄いもん読んだ、という読後感があります。(ちなみに著者は言語学者)

“高い塔の魔女“と呼ばれる少女マツリカと、彼女に仕える少年キリヒト。彼らが果たすべき役目とは何なのか。それは運命なのか・・・それとも自ら選び取るものなのか。

学習センターにあるのは単行本で上下巻、合わせて1400ページ以上。正直、半分近くまでは苦痛かも。難しい言葉やわかりにくい部分は飛ばしていいから、くじけないで先へ進んでくださいね。キリヒトの正体が明らかになるあたりから、ぐんぐん物語に引きこまれていきます。

ファンタジー好きの生徒にすごく勧めたいけど、どうせ最後まで読む人はおらへんと紹介しないでいた本です。続編まで読んだのは卒業生で一人だけ記憶にあるので、挑戦してみようという方は是非この機会に。ただし巻数が多いから買うなら1冊ごとがいいかも。好きな本を何回も読みかえすタイプの司書Sは、この休校中、最初飛ばし読みしていた部分をじっくり読み、さらにもう1回・・・と都合4回読みました。(ちょっとマニアック)

第45回メフィスト賞受賞作。講談社文庫で4巻。続編は『図書館の魔女 烏の伝言(からすのつてこと)』、これも文庫で2巻。この長さを最後まで読めたアナタ、きっとゲーテの『ファウスト』くらいは読めてしまうと思いますよ。

2020年4月新着図書 2020年05月01日

資料名 巻次 編著者
人間を究める 松尾 豊∥著
日本十進分類法 新訂10版 1~2 もり きよし∥原編
「学校図書館ガイドライン」活用ハンドブック 解説編 堀川 照代∥編著
最後の講義完全版 石黒 浩∥著
新版 アリストテレス全集 11 アリストテレス∥著
禅ってなんだろう? 石井 清純∥著
木簡古代からの便り 奈良文化財研究所∥編
詳説台湾の歴史 薛 化元∥主編
スペイン通史 川成 洋∥著
北欧学のすすめ 東海大学文化社会学部北欧学科∥編
よくわかるアメリカ文化史 巽 孝之∥編著
図説マヤ文明 嘉幡 茂∥著
国際機関への就職 伊藤 博∥著
大地よ! 宇梶 静江∥著
パンと牢獄 小川 真利枝∥著
俺のアラスカ 伊藤 精一∥著
社会を究める 若新 雄純∥著
リトアニアを知るための60章 桜井 映子∥編著
それを、真の名で呼ぶならば レベッカ ソルニット∥著
〈嘘〉の政治史 五百旗頭 薫∥著
不安定化する世界 藤原 帰一∥著
グアンタナモ 渡邉 優∥著
18歳までに知っておきたい法のはなし 神坪 浩喜∥著
10年後に食える仕事食えない仕事 渡邉 正裕∥著
百年後を生きる子どもたちへ 豊田 直巳∥写真 文
あたらしい高校生 山本 つぼみ∥著
フテンマ戦記 小川 和久∥著
竹内薫の「科学の名著」案内 竹内 薫∥著
実験でわかる触媒のひみつ 広木 一亮∥共著
宇宙の謎に迫れ!探査機・観測機器61 小谷 太郎∥著
いのちの不思議を考えよう 4 朝日新聞出版∥編
生命を究める 福岡 伸一∥著
最後の講義完全版 福岡 伸一∥著
生命の〈系統樹〉はからみあう デイヴィッド クォメン∥著
人の暮らしを変えた植物の化学戦略 黒柳 正典∥著
絶滅動物は甦らせるべきか? ブリット レイ∥著
ナマズの世界へようこそ 前畑 政善∥著
人工培養された脳は「誰」なのか フィリップ ボール∥著
キム兄、こころのなおし方を聞く 野村 忍∥著
一城一話55の物語 松平 定知∥著
砂と人類 ヴィンス バイザー∥著
結局、男の服は普通がいい 山田 耕史∥著
トラりんと学ぶ日本の美術 2 京都国立博物館∥監修
リーダーとして覚えておいてほしいこと 野村 克也∥著
ポロック生命体 瀬名 秀明∥著
5分後に恋の結末 橘 つばさ∥著
掟上今日子の設計図 西尾 維新∥著
クスノキの番人 東野 圭吾∥著
甘夏とオリオン 増山 実∥著
月の光 ケン リュウ∥編
ザリガニの鳴くところ ディーリア オーエンズ∥著
類似と思考 鈴木 宏昭∥著
絵で楽しむ江戸のことわざ 時田 昌瑞∥著
ヒトの目、驚異の進化 マーク チャンギージー∥著
問題解決ラボ 佐藤 オオキ∥著
ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた 青山 通∥著
白村江 荒山 徹∥著
有楽斎の戦 天野 純希∥著
マツリカ・マトリョシカ 相沢 沙呼∥著
サマーウォーズ 細田 守∥原作
ブルーローズは眠らない 市川 憂人∥著
人間たちの話 柞刈 湯葉∥著
砂漠 伊坂 幸太郎∥著
レイモンさん 植松 三十里∥著
宮廷神官物語 8~10 榎田 ユウリ∥著
禁じられた楽園 恩田 陸∥著
心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 神永 学∥著
7分間SF 草上 仁∥著
クララ殺し 小林 泰三∥著
偽装診療 仙川 環∥著
サムのこと 猿に会う 西 加奈子∥著
パラレルワールド・ラブストーリー 東野 圭吾∥著
フラダン 古内 一絵∥著
オペレーションZ 真山 仁∥著
高校事変 6 松岡 圭祐∥著
火車 宮部 みゆき∥著
凶犬の眼 柚月 裕子∥著
紫の火花 岡 潔∥著
名犬ベラの650kmの帰宅 W.ブルース キャメロン∥著
タイタンのゲーム・プレーヤー フィリップ K.ディック∥著
夏への扉 ロバート A.ハインライン∥著
探偵コナン・ドイル ブラッドリー ハーパー∥著
死刑囚最後の日 ユーゴー∥作
著作権とは何か 福井 健策∥著
読解力を身につける 村上 慎一∥著
きみのまちに未来はあるか? 除本 理史∥著
どんなことからも立ち直れる人 加藤 諦三∥著
「京都」の誕生 桃崎 有一郎∥著
日本人が誤解している東南アジア近現代史 川島 博之∥著
日本人のためのイスラエル入門 大隅 洋∥著
欧州分裂クライシス 熊谷 徹∥著
「言葉」が暴走する時代の処世術 太田 光∥著
ハーバード流「聞く」技術 パトリック ハーラン∥著
「ファインマン物理学」を読む 竹内 薫∥著
マグロの最高峰 中原 一歩∥著
トラックドライバーにも言わせて 橋本 愛喜∥著
駅名学入門 今尾 恵介∥著
客室乗務員の誕生 山口 誠∥著
芸術人類学講義 鶴岡 真弓∥編
伊藤若冲 辻 惟雄∥著
教養としてのロンドン・ナショナル・ギャラ 木村 泰司∥著
時代劇入門 春日 太一∥著
日本の火山に登る 及川 輝樹∥著