選書ツアー 書評3 2016年02月22日

高校生が2人続きました、今日は中学3年のT君が選んだ本を紹介しましょう。

(彼は毎週雑誌の受入れ担当で、司書から「ミスター・マガジン」と呼ばれています~。)

この選書をしたのは12月、ちょうど映画が上映されていた頃でしたね。

 

杉原千畝―情報に賭けた外交官― / 白石仁章著 新潮社

 

杉原千畝といえば皆さんご存知の通り、第二次世界大戦下のリトアニアにてユダヤ系難民にヴィザを発給し、六千人ものユダヤ人を救った外交官として有名ですが、この本では杉原千畝のあまり知られていないインテリジェンスオフィサーとしての一面を描いています。

杉原千畝は様々な弱い立場の人間から信頼を勝ち取り、彼らから得た情報を利用することで、日本や世界をできる限り良い方向へと導こうとした、まさに情報にすべてを賭けた外交官なのでした。この本は、杉原千畝のそのような諜報活動の一つ一つを丁寧かつわかりやすく解説し、極力難しい言葉を使わずに活動をあたかも物語のような形式で書くことによって、読者を飽きさせることがありません。

第二次大戦下の満州国やソ連、ヨーロッパの情勢に興味のある方や、杉原千畝という人物に興味のある方に特にお勧めする一冊です。